コラム
エアコンはボタンひとつで快適な生活空間を保つことができる万能な機械ですよね。しかし、いざエアコンを取り付けようと接続部をよくみたら「コンセントとプラグの形状が違う……!」とお困りのかたもいるのではないでしょうか。
「形状が違うけどこのまま取り付けられるの?」「自分で取り付けていいの?」と考えてしまいますよね。コンセントの形状が異なるときそのまま使用してはいけませんが、そもそも形状が異なる理由やどんな危険があるのかご存知でないかたも多いでしょう。
そこで今回は、エアコンのコンセントと電源プラグの形状について詳しく説明いたします。あわせて、コンセントの形状が異なる場合に必要な工事の内容やコンセント工事で知っておくべきポイントもご紹介します。ぜひ、最後まで読んでいただき安全にエアコンを設置できるようにしましょう。
目次
まず、エアコン形状と電源プラグの形状がたくさんあることを知っていただきたいと思います。皆さんのお宅のコンセントは、どんな形状をしているでしょうか。プラグの形状も一緒に確認していきましょう。
エアコンの電源プラグは、エアコンを動かすために必要な電流や電圧によって異なる形状をしています。ボルト数は2つ種類があり、100V用と200V用のものがあります。
<平行型>
こちらは電圧100V用のものです。主に、6~8畳くらいのところで使用します。電圧は100Vで電流は15Aです。コンセントとプラグの形状は、縦に2本線が入っているものになります。
<IL平行兼用型>
こちらも電圧100V用のものです。主に、10~12畳くらいの場所で使用します。電流は20Aです。コンセントとプラグの形状は、縦に1本線が入りその横に90度傾けたアルファベットの「L」の字やアルファベットの「T」の字があるものです。カタログの表示マークは、縦線と「L」の字のマークで統一されています
<タンデム型>
こちらは、電圧200V用のものです。主に14畳くらいで使用します。電流は15Aです。形状は線が2つと半円形のものになります。このコンセントとプラグは、簡単にいうと人の顔のようなデザインです。カタログ表示マークとしては、口をつぐんだようにみえる絵文字のようになります。
<エル・バー型>
こちらは、電流200V用のものです。主に冷房で16畳くらいの広さのところに使用します。電流は20Aです。形状はタンデム型とよく似ていますが、2本の線ではなく、1本の線とアルファベットの「L」の字のものと半円形のものとの3つの形からできているものです。
では、どうしてこんなにさまざまな形状があるのでしょうか。それには、以下のような理由があります。
・電圧と電流の大きさで形状を変えることで間違いや事故を防ぐため
エアコンは、大きな電流が流れる電化製品のひとつです。ほかの電化製品と電源を共有してしまうと、配線されている電線が発火したり火災の事故につながったりすることが考えられます。そのため、そこにコンセントをさすことができないように工夫されているのです。
・ほかの電化製品のコンセントと区別するため
ほかの電化製品と区別するためにコンセントやプラグの形を変えているのもひとつの理由です。たとえエアコン室内機の近くにコンセントがあるからといって、エアコン専用の回路かどうかは断定できません。素人ではエアコン専用の回路かどうか判断することはできないので、きちんとプロの業者に確認をしてもらいましょう。
取り付けたいエアコンの電源プラグがコンセントの形状と異なる場合は、形状が一致するいずれかのコンセントに交換する工事が必要です。使用するエアコンの形状をよく確認してから工事をおこなうようにしましょう。
コンセントの工事をおこなう以外にも、電圧を切り替える場合も工事が必要です。日本で使用されている電化製品の多くは100Vが主流ですが、なかには200Vのものもあります。
エアコンを含め、使用したい電化製品とコンセントの電圧が異なっていれば、コンセントの形状とあわせて電圧の変換工事も必要です。かならず電圧も確認しておきましょう。
コンセントを交換する作業や電圧を切り替える作業は、むずかしい作業ではないと考えるかたもいるかもしれません。
しかし、コンセントの工事をおこなうには資格が必須なのです。「第二種電気工事士」という免許がなければ、コンセントや電圧変換工事をおこなってはいけません。万が一のことが起これば、大きな事故につながるおそれもあります。かならず資格をもっている業者に依頼しましょう。
では、エアコンのコンセントの工事を依頼する前にどのくらいの費用がかかるのか相場をみてみましょう。また、それ以外に知っておいた方がよいこともお伝えします。
エアコン専用のコンセントを新たに作ろうとするなら、エアコン専用の回路が必要です。コンセントからでている電線が、ほかのコンセントの電源とつながることなくブレーカーに直接つながっていなければなりません。
エアコンの専用回路を作る増設工事にかかる費用は、およそ12,000円~17,000円です。またコンセントの形状を交換する場合には、プラス2,000円~3,000円程度、コンセントの電圧を変換する工事にはプラス1,000円~6,000円程度が相場です。
工事費用は、業者や工事内容によっても差があります。詳しい料金を知りたいときは、見積りを依頼して予算と照らし合わせてみてください。
「工事は費用がかかるし、とりあえず延長コードでしのごうかな」と安易に考えないようにしてください。延長コードの使用は、非常に危険です。
エアコンには省エネタイプなどもありますが、それでも家電製品のなかでは大きな電力を消費する家電なのです。延長コードが電流に耐えられずに熱をもち、発火する危険性があります。絶対に使用しないでください。
エアコンを設置する前に、自分で確認しておくべきことができているとスムーズに設置してもらえます。確認するポイントは4つあります。
まず、ブレーカーを探してみましょう。多くの家庭では台所や玄関や洗面所、脱衣所などの天井近くにあることが多いです。みつけたら脚立などで登って近くでみてみましょう。
・電気配線を確認する
はじめに、一番大きなレバーを探してください。だいたいは左側についていることが多いです。このレバーに、赤と白と黒の3本の線が引き込まれている状態かどうかを確認してください。この状態でしたら家庭用のエアコンを使うことができます。また白と黒の2本の線でしたら100Vのエアコンを使うことが可能です。
・契約している電気容量を確認する
次に、その大きなレバーのある場所に契約している電気の容量が書いてあります。エアコンを使用する場合は、30A以上必要です。
・エアコンの専用回路があるかを確認する
エアコン専用と書いてあるスイッチはありますか?エアコン専用と書いてあるものがあれば、エアコン設置には問題ありません。
・専用回路がない場合は空いている回路があるか確認する
エアコンの専用回路がない場合もありますが、別に空きの回路があるかみてみましょう。空きの回路がある場合は増設が可能です。
エアコン本体を取り付ける部屋に、エアコン専用のコンセントがあるか確認をしましょう。部屋の壁の高いところにあることが多いです。エアコンを使うときには室外機も設置することになるので、室外機を置くための場所を確保しましょう。
室外機の設置する場所は庭などのフラットな場所やベランダ、バルコニーが主流です。室外機の前面は25センチ以上のスペースを空け、室外機の側面と背面は5センチ以上のスペースがあるかどうかも確認しておきましょう。
スペースを設けることが難しく屋根の上や壁面設置のような場所になるという場合オプション工事にはなりますが、対応してくれるところも多いので相談しておくとよいです。
エアコンを設置する部屋に配管の穴はありますか?すぐにみえるところにない場合、壁のなかに隠れるようにエアコンの配管用の穴が設けていることも考えられます。
配管用の穴がない場合は対応してくれることも多いですが、その際オプション工事となることもあるので事前に料金など確認しておきましょう。
エアコン室内機と室外機の位置を決めたら、だいたいどのくらいの配管の長さが必要なのかみてみましょう。
同じ階にこの2つを設置する場合は、およそ3~4mが必要となります。1階と2階にわかれて設置する場合は、5~7m、1階と3階にわかれる場合は7~9mくらいの長さが必要です。
今回は、エアコンのコンセントの形状とプラグの形状について説明してきました。エアコンのコンセントとプラグの形状には大きくわけて4種類の形状があり、それぞれ意味があり異なる形をしていることがわかりました。
異なる形状をしている場合は、そのまま強引にさして使用してはいけません。安心してすぐにエアコンを使用できるように、資格をもっている業者に依頼してコンセントとプラグの形状が合うよう工事をしてもらいましょう。