コラム
学校や仕事が終わった後や休日には、お部屋でゆっくりテレビを見てくつろぎたいものですよね。お部屋で過ごすときに、テレビがないと過ごせないという方も、きっと多いことでしょう。
けれども、ご自宅にテレビが見られるお部屋が限られている、という場合には不便を感じてしまいます。「居間にはテレビ用コンセントがあるけれど、自室になくて困った」「テレビ用コンセントのない寝室でもテレビが見たい」……。そんなお悩みを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、テレビをどのお部屋でも見られるようにできる方法があることをご存じでしたか?今回はテレビ専用のコンセントがないお部屋でも、テレビが見られる方法をご紹介していきます。テレビを見たいお部屋にテレビ専用のコンセントがなくて、困っている方は、ぜひ参考になさってみてください。
まず、テレビ専用コンセントについて、基本的なことを知っておきましょう。
私たちが住む住居には、テレビを見ることを前提として、あらかじめテレビ専用のコンセントがついています。どうしてテレビを見るために、このテレビ専用コンセントが必要なのでしょうか?まずテレビが映る原理からお話していきましょう。
テレビ局で製作された番組の映像データは、「送信所」で電波となって発信されます。私たちが住宅の屋根やベランダで見かける「テレビ用アンテナ」がその電波をとらえる役目を果たしています。
電波はケーブルからテレビへ伝わり、映像データに変換されます。そして私たちがテレビの画面で映像を見ることができる、というわけです。テレビ専用コンセントは、アンテナから伸びているケーブルと、テレビからのケーブルをつなぐ役目を果たしています。
そのためテレビ専用コンセントがないと、アンテナとテレビをつなげることができないために、テレビを見られなくなってしまいます。
テレビのコンセントと一口にいっても、さまざまな種類があります。
1. テレビ端子(テレビターミナル)
テレビ端子は、現在最も普及しているテレビコンセントです。ケーブルの先に使うテレビコンセントで、壁面の内側に入力端子があります。テレビの配線には、「送り配線」と「スター配線」があります。
テレビ端子は、「スター配線」で分配されています。アンテナからほかのお部屋のテレビ端子を経由せず、目的のお部屋全てに直接1本ずつ分配する配線方法です。端末までの距離が短くて済み、端末のテレビ端子出力を減らすこともありません。
1本ずつ配線するのでケーブルが多くなるため、費用は高くなりますが、受信レベルの落ちが少ないので、ある部屋だけ映りが悪くなるような事態は防ぐことができます。
2.中間ユニット
「送り配線」ときに用いるテレビコンセントです。「送り配線」は、配線が1本でよいので、取り付けに手間もかからず、費用も安くて済みます。しかし、中間用のテレビコンセントは、壁から電波を取り出すときに、受信レベルの落ちが激しくなります。
3. 端末ユニット
「送り配線」のときに、中間ユニットを経由したケーブルがたどり着く先の、テレビコンセントです。電波の逆流を防ぐために電気抵抗がついているため、電波レベルが下がってしまいます。
4.端子型ユニット
2分配器がついているようなコンセントで、レベルも2分配器と同様な下がり方をします。テレビとレコーダーをそれぞれ接続するような使い方もできます。
テレビ専用コンセントがなくても、テレビを見る方法があります。こちらでは、3種類の方法をご紹介します。
テレビ専用コンセントがないお部屋で、テレビを見ようとするには、「分配器」を使う方法がまずあげられます。分配器とは、1つのコンセントに2つのケーブルを接続する機器のことです。すでに設置されているテレビ専用コンセントに、2つケーブルを接続して、1つはあるお部屋でテレビを見るために使い、もう一方は別の部屋で別のテレビにつなぎます。
こうすることによって、テレビ専用コンセントのないお部屋でもテレビを見ることができるようにします。延長ケーブルと分配器があれば、見られるテレビの台数を簡単に増やすことができます。
ただし、アンテナが受信した電波を2つに分配して個々のテレビに流すので、その分電波の勢いが弱くなります。延長ケーブルの長さの分だけ、電波の流れる勢いが弱まるので、映像の質が下がる、ということもあり得ます。
部屋やベランダにあるテレビアンテナに、新しいケーブルを取り付け、部屋の中に引き込む方法もあります。引き込んだケーブルをテレビに接続すれば、専用コンセントなしでもテレビを見ることができます。
屋外のアンテナからケーブルをお部屋の中に引き込むには、いくつか方法があります。お部屋にエアコンが設置されていれば、室外機と室内機をつなぐダクトの中にケーブルを通して、お部屋に引き込むことができるのです。デメリットとしては、屋根の上のアンテナにケーブルを取り付けるのは、素人には危険が伴う、とうことです。
別の部屋からLAN経由で見るという方法もあります。DLNA という言葉をお聞きになったことはありませんか?DLNAとは、テレビなどの家電や、パソコンなどでLANを通じて無線で映像や音楽のやりとりをするガイドラインのことです。
このガイドラインに即した家電などをLANに接続することで、別の部屋の録画機などに設定された受信機能を用いて、テレビが見られるようになります。スマートフォンやパソコンを使っていると、多くの電波が飛び交い、お互い干渉しあってつながりにくくなる、というデメリットもあります。
最終的には、テレビ専用コンセント自体を増設するという方法もあります。コンセントを増やすことはできるのですが、その前に知っておきたいことをご紹介します。
テレビがきれいに映るかどうかというのは、今のテレビ電波の受信状況によっても変わってきます。コンセントを増設すれば必ずテレビが映るとは限りません。業者に頼む前に、お使いのテレビの電波の受信状況を確認しておきましょう。
テレビ専用コンセントのない部屋でテレビを見るには、「分配器」を使う方法が一般的です。「分配器」をコンセントに取り付けることによって、1つのコンセントから2つのケーブルを接続することができます。「分配器」とは電波の信号を均等に分けることで複数のテレビに接続する装置です。
「分配器」には、「全端子通電形」と「一端子通電形」の2種類があります。複数個所でテレビを見る場合や、BS放送を見る場合は「全端子通電形」を使います。逆に、BS放送を見ない、一ヵ所でしかテレビを見ないといった場合は、「一端子通電形」でも大丈夫です。
またテレビを使っている場所の電波の受信状況がよくないと、ブースター(増幅器)を使わないといけない場合もあります。ブースターとは、テレビの信号を増やす機能があります。アンテナからテレビまで、延長コードを使ったりして配線が長い場合や、信号の分配数が多いために信号に損失があれば、ブースターによって信号が増幅されます。
ただし、ブースターは信号自体の質を良くするものではありません。信号を増幅するだけのものなので、信号に含まれたノイズなどもそのまま増幅してしまいます。そのため、かえってテレビの映像が見づらくなってしまう、という場合もあります。
テレビ用のコンセントの増設工事をするという方法もあります。一番費用がかからずに済むのは、ほかのコンセントから分配してコンセントを増設する方法です。また、コンセントを増設したい場所が、アンテナから近い窓際であるときも、ケーブルが短くて済むので、費用を抑えられます。
コンセントを屋外のアンテナから離れた場所に取り付けたい、という場合は、ケーブルが長くなるので屋根裏などを経由する必要があります。そのため工事する場所が増え、費用が高くなってしまいます。業者に頼んだ場合の相場は、一般的に数千円~数万円です。
それぞれのお住まいの環境によっても、建築物の構造や設備の違いがあります。複数の業者に現在の状態の詳細を説明し、見積もりを依頼して、しっかり比較することで後悔のない工事ができるでしょう。
テレビコンセントがないお部屋でもテレビを見るための方法をご紹介してきました。アンテナにケーブルを取り付けるなど、ご自分ではなかなかできない作業も出てくるかもしれません。もし業者に頼むのならできるだけ費用を抑えたいものです。今回ご紹介した費用を抑えるポイントを、参考してみてください。
全ての方法が、全ての方に当てはまるというわけではありません。この記事で得た知識を使いながら、皆さんのそれぞれのお部屋でご自分に合った方法を探してみてください。