コラム
部屋の中を見渡すと家の中には冷蔵庫などの大型家電だけでなく、パソコンをはじめインターネットに関連する機器やスマートフォンなど細かいものに至るまで、数えきれないほどの電化製品があります。その数と比例して必要となっているのがコンセント。備え付けのものだけでは足りず、たこ足配線でまかなっているご家庭がほとんどではないでしょうか。
たこ足配線にも限度があり、間違って使用していると大きな事故を招く恐れがあります。安全に正しく使用するために、コンセントや電源タップの限界や適切な配線方法についてご紹介します。
日本ではひとつのコンセントや電源タップで使える定格容量は1500Wが基本です。これは電源タップの裏側などにも記載されているので、一度確認してみてください。差し込み口がいくつかある場合には、使用している電気容量の総数が1500Wまでということになります。それがそのコンセントや電源タップで使用できる限界です。
差し込み口が多いからといって電力容量の多いものをバンバン挿してしまっては定格容量を超えてしまいます。電気機器にはそれぞれ電気容量がどれくらいなのかが本体や説明書に記載されているので、同じコンセントや電源タップに挿して使う合計が1500Wを超えないように注意しなくてはならないのです。また、電源タップにスイッチのランプがついているタイプを使用している場合、何もプラグを挿していなくてもこのスイッチのランプが点灯してるだけで微力ながら電力を消費します。使用していない場合はきちんとスイッチもOFFにしておくようにしましょう。
やり過ぎは危険、というのは何となく皆さまもイメージを持っていらっしゃると思います。では具体的にどんなことに気を付けるとよいのでしょうか。特に注意が必要なのは、キッチンなど大型で消費電力の大きい電化製品が集まる場所。大型の電化製品は場所が固定されていて常に電源を挿しっぱなしにしている場合がほとんどです。限界を超えて使用し続けていると、ブレーカーが落ちる前に発火して火災を招く恐れがあります。定格ギリギリで使用するのではなく、少し余裕を持たせて使用するのが安全で理想的です。
また、容量さえ守っていれば事故は起きないかというとそうでもありません。コンセントや電源タップにたまったホコリが湿気を帯びると、甘挿しとなっている電源プラグなどがショートして発火してしまうことがあるのです。これをトラッキング現象と言います。長く延びたコードがいくつも集まっているなど見栄えの悪さを気にしてコンセントや電源タップを見えないように隠してしまう方も多いのですが、周辺は手入れができるような隙間をあけて、家具などで完全に隠してしまうことがないようにしておきましょう。
先ほど同じコンセントや電源タップでのワット数の総合計が1500Wを超えないようにと説明をしたのですが、例外もあります。同じ部屋の中に壁コンセントが数か所ある場合、そのすべてがもし同一のブレーカー回路となっているときは、その全部で使用できる合計が1500Wとなります。
例えば差し込み口が2口のコンセントが同じ部屋に2か所あり、それが同一のブレーカー回路だった場合。コンセントひとつの差し込み口に電気ストーブなど消費電力の大きな電化製品を繋いでいるとします。目安としては10A弱なので1000Wほどだとします。すると、コンセント空いている方の差し込み口は、500Wほどしか使うことができないのです。どのコンセントが回路を共有しているかはブレーカーをひとつずつ落としてみるとわかります。また、建築時の図面がある場合にはそれも参考になります。
ご自宅の状況から全然コンセントの数が足りない…という方も案外多いと思います。築年数の古い物件にお住まいの場合は特にそうかもしれません。そんなときは“コンセントの増設”という方法があります。
無理に電源タップを増やさずに使用できればもちろん安全ですし、見栄えも良くなります。快適に使えるようプロの力を借りてみてはいかがでしょうか。これはコンセントの数は足りているけど場所が悪く延長している、という場合にも有効です。“増設”と聞くと大がかりな工事で費用もかかりそうなイメージですが、新たに回路を増やす工事でない場合は費用がそんなにかからない場合もあります。家を建てたときにアレコレ悩んで位置を決めたはずのコンセントが案外使い勝手が悪い…という方も意外に多いので、ぜひご相談ください。
いかがだったでしょうか?使いやすい場所であまり考えず使用していた方も多いと思いますが、誤った使い方をしているとコンセントや電源タップが原因で火災や漏電などで大きな事故を招く恐れがあります。専門的な知識も含まれてくるので難しい話のように聞こえてしまうかもしれませんが、ご自宅を見回してみて電源タップが多いと感じるようであれば、一度使い方を見直した方がいいかもしれません。